抱きしめる

「いいかいノラ」
ニーロはノラをまっすぐに見つめたまま、熱を込めて言いました。

「どれほど暗い夜であっても、必ず明ける。きっと朝が来る。そして、新しい一日が始まるんだよ」

「そして、そのときには、悲しみがしあわせの隠し味になるわ」女王が言い足しました。

「ぼくだって、おまえが嫁に行ってから、どんなに悲しい思いをしたか。でも、くじけずに、前を向いて生きてきたんだよ」

ノラははっとしたようすで、涙にぬれた顔をニーロに向けました。

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