やがて、少し落ち着きを取り戻したところで、女の人が語り始めたことには―。
わたしはいくつもの村を越えてベルゲンという町から来たの。それというのも、この森には、その水を飲むと未来を予言する力が身につくという泉がある、とうわさに聞いて、矢も楯もたまらず探しに行ってみたくなったの。
だって、こんなわたしにどんな未来があるのか知りたかったから。
すてきな未来があると分かれば生きる元気が出るかも、でも、そうでなかったら、もうこれ以上生きている意味もないのないかな、いや、そうじゃない、私に未来を予言する力が身についとしたら、それこそが私にとってのすてきな未来になるじゃない、とわくわくしたりもして。
でも、やってはきたものの、泉は見つからないし、戻る道も分からなくなってしまい、疲れ切って歩けなくなってしまったの。
「もう、わたしったら。わたしの物好きのおかげでひどい目にあったわ。わたしなんて大嫌いよ!」
と思わず叫んだら、そのとたん、目の前にあの女の子がひょいと姿を現したの。
その顔がまるでわたしにそっくりだったものだから、思わず、「おまえなんか嫌いよ、あっちへ行け」とどなりつけてしまったの。
「まあ、ずいぶんと思い切ったことを言ったもんだこと」
「だって、ほんとに、幼い頃のわたしにそっくりだったんだもの」
「それだったら、なおさら優しくしてやったらいいじゃないか」
「だって、だって・・・」と女の人は甘えた声を出しました。
「ほんとに、ほんとに、幼い頃のわたしに生き写しだったんだもの」