帰りすがら、なおも興奮が冷めやらないまま、手にした杖をタクト代わりに振りつつ、繰り返し歌い続けていました。そして、かつてグリーグが住んでいたという家の屋根の上なども越えて、ようやく森の外れまでたどり着くと、どうしたことでしょう。五、六歳の人間の女の子が目をはらして泣いています。
「おや、おまえは人間の子どもだね。いったい、どうしたんだい?」
「おまえなんかあっちへ行け、って言われたの」
女の子は世にも哀れな声を出しました。
「それはお気の毒に」
女王は優しいまなざしを女の子に向けました。
「で、誰に言われたの?」
女の子は黙って森の奥を指さしました。