女王は、女の人を森の出口まで連れて行ってやったのですが、その道すがら、
「泉はたしかにこの森にありますよ、うわさのとおりにね。・・・ほら、あそこよ」
女王が杖で指す方向に目をやると、木々の間からきらきら光る水面が見えました。そして、女の人が「あっ」と声を上げる間もなく、泉は再び姿を消してしまいました。
でも、女の人はその光景を脳裏にしっかり焼き付けました。

「その時が来れば、きっと自分で見つけることができるでしょう。でも、いまはまだその時ではなさそうね」
「女王さま、ありがとう」
女の人は晴れやかな顔を女王に向けました。
「泉がほんとにあるんだ、と分かっただけで、ここに来たかいがあったわ。でも、いまはべつに、泉の水を飲んでみたいとも思わなくなったの。わたしのどこか深いところから、生きる望みが湧いてきた感じだから」