「えーと、えーと、この子は・・・そう、そう、わたしが好奇心に駆られて無茶なことをしようとすると、そのつどわたしをたしなめてくれました。いかがわしい男から知らない土地へ行ってみないかいと誘われたときなども、ひどくやけを起こしていたわたしがあやうくその気になろうとしたときにも、この子が止めてくれたんです」
「ありがとうね、いつもわたしを助けてくれたのね」
そう言って、女の人が女の子を抱きしめると、目をぎらぎらさせて怒っていた女の子の顔が見るまにやわらいで、かわいいべそをかきました。
女の人は勝ち気な女の子を抱きしめながら、もう一度茂みに隠れている女の子を呼びました。
知りたがり屋の女の子は、今度は飛んでやって来て、女の人の腕の中に飛び込みました。
女の人は、二人の女の子をひしと抱きしめました。
「ふたりとも、なんてかわいく、いじらしいんでしょう」
「あなたもかわいく、いじらしいわよ。わたしから見たら、孫の、孫の、そのまた孫娘のようなものですからね」